日々の呟き、妄想などの捌け口。
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うん、やっぱり課題を出されました。
壁面を作るだけじゃなくて、園児参加型の壁面なので本を借りて対策練ります。 来週中に先輩に案を提出するのですが、土曜の夜くらいに始めようと思います。 ちょっと今日明日は執筆と印刷製本の作業に割きたい。 朝に育成録の19話を仕上げたので、今日中に20話を仕上げられたら理想的です。 アップした『好きと嫌いの境界線。』は曖昧な終わらせ方をしたので続編を期待された方すみません……。あれ、実は読みきりタイプで仕上げてみました。 タイトル下は呼称が変わっているので気付いていると思いますが、既にくっ付いた後だったりします。ごめん……上手く纏まらないから好きになってくっ付くまで空白の時間を省いちゃった★ ← 『恋と愛の境界線。』なんて続編タイトルも思い付くんだけど、どこの部分を描いたら良いのか悩むので予定は未定状態でお願いします。 いつしかアップされていたら読んであげて下さい。それまで脳内補完で頼んだ!笑 多分書き出したら長くなるので今手を付けるわけにはいかない……。 じゃ、そんな訳で総司はあれで今のところ終わりな感じなんですが、薄桜鬼では残念ポジショニングな新八が恰好良く見えるだろうと思われる恋華・新八を置き土産にして原稿に励もうと思います。 懐かしいな5年くらい前の作品だけど、恋華新八の格好良さは忘れてないよ! 薄桜鬼新八の残念な美味しさとは違う、出来る男の美味しさ。 随分と昔なので文体も違うけど日記閲覧者限定で。笑 恋華総司も出て来るお。この作品の石田@総司が凄く好き。 私の中で三木@斎藤がマジ神だった。薄桜鬼斎藤よりも好きです、正直。
悔しい……!
確かに私は女だし、剣を始めたのは遅いかも知れないけど……。 やっぱり負けるのは悔しくて堪らないよ!! 私らしくのススメ。 「ほらほら、桜庭さんっ!気組が足りませんよ!!」 「……ッ!!」 勢いにのって攻め込む沖田に防戦一方の鈴花。 バシッと激しい音がしたと思ったら、持っている筈の木刀は宙を舞う。 「ハァハァ……また私の負けですね」 「最近らしくないですね、桜庭さん。剣に迷いがありますよ」 床に落ちた木刀を拾い、鈴花に渡す沖田だが 受け取る鈴花の顔は悔しげ…というよりも不満げの顔だった。 「どうかしかしたか、桜庭さん?」 「いえ…何でもありません。稽古、有り難う御座いました」 らしくない表情をした鈴花を疑問がり、沖田は不思議そうに問う。 だが鈴花は少し俯き加減で低い声を発して頭を下げる。 普段なら此処で“もう一本お願いします!”という彼女なのにおかしいと沖田は首を傾げる。 しかし彼が鈴花に声を掛ける前に、鈴花は早足で道場を出てしまった。 「どうしたんでしょうかねぇ、桜庭さん」 残された沖田はポカンと鈴花が出て行った出口を眺めてまた首を傾げてしまう。 (悔しいぃ……ッ!なんで上手くいかないんだろう……) 挨拶もそこそこにして道場から出てきた鈴花だが、これといって行く当てもない。 ただ耐え切れなかったのだ、沖田という存在に。 前はまったくと云っていいほど平気だったのに、今ではその真逆。 生理的に嫌に感じるのではない。 普段接する分には問題ない。 ただ道場で稽古を受ける時に激しい“嫌悪”に近いものを感じてしまうのだ。 どうして? 私だって頑張っているのに…なんで上達しないの!!? 沖田さんが強いのは知ってる。 流石一番隊隊長を務める人だってことは任務でも稽古でも実感した。 でも……。 途中入隊した隊士だってメキメキと上達している。 私だって上手くなっている筈なのに何時も敵わない。 半ば自己嫌悪に陥り、俯いた状態のまま廊下を歩く。 鈴花は今、沖田に対して激しい劣等感を感じていた。 また行き詰まりを感じている。 強くなりたいと思うのに、それが上手くゆかない。 悔しくて、悔しくて…けど自分ではどうしようもなくて歯痒い日々を送っていた。 「きゃあ!」 「っと。悪ぃ、大丈夫か!って何でぃ、桜庭か」 下を向いて歩いていただけに気付かなかった。 鈴花が鼻を擦りながら顔を上げると、その先には二番隊の永倉が立っていた。 彼女の姿を見とめると“悪ぃ悪ぃ”と悪気を帯びずワシャワシャと髪を掻き回す。 「ナンだぁ、その辛気臭い様子だとまた総司にでも負けたのか?」 「………」 なまじ図星なだけに返事に詰まる。 しかも今その事に大いに凹んでいるのなら尚更苛立ちを隠せない。 「永倉さんには関係ないじゃないですか」 思わず鈴花は喧嘩腰になってしまう。 いつもはこんなに感情的になったりしないのに、負の劣等感が支配する。 これ以上此処にいたら、また云いたくない暴言を吐きそうだった。 判っている。 沖田は強いと身をもって体感している。 けど……ッ! 「桜庭。お前ぇ、何か勘違いしてねぇか?」 ギリッと歯を喰いしばっている時に鈴花の頭上から声が響いた。 多分、反抗的な生意気な視線を向けていたに違いない。 見上げた先の永倉は何か悟ったような、何か含んだ笑みを浮かべている。 「オメーはよ、総司じゃねぇんだ」 「判っています…」 そんなこと云われなくても自分は沖田ではない。 そう、桜庭鈴花だ。 剣を取り、身を立てる事を誓った女剣士である。 「オメーは何のために戦う」 「私は……」 笑みを止め、真剣な眼差しで永倉は鈴花に問う。 胸の前でギュッと拳を握る。 そう……私は……。 剣で身を立てるためでもあった。 だけど、私は、私は照姫様のいる会津を守るために戦う。 もはや身寄りらしい身寄りを失くした私に生き甲斐を授けて下さった方の為に……! 「私は……!」 「強くなるために戦うわけじゃネェだろ?」 「はいっ」 その答えを聞き、フッと永倉が笑う。 鈴花も何処かしら吹っ切れたような感じがした。 「我武者羅に強くなろうとしたって人間強くならねぇ。 何かを成し遂げようと目標に向かって進んで、ぶつかって、学ぶんだ。判るか、桜庭?」 「……!」 「焦ったってしょーがねぇだろ」 どうして永倉がこんな話をするのか漸(ようや)くわかった。 きっと彼は判っていたのだろう。 最近の鈴花が焦っていることに、勝ちに拘った生き方をしていることに。 髪を掻き回すのではなく、優しく頭を撫でられたのが 変に切なく感じて思わず涙が止まらなかった。 「お前さんはただ強くなる為だけに新選組(ここ)にいる訳じゃないだろ?」 言葉にならない嗚咽が洩れる。 両手で顔を覆っても溢れる涙は零れ落ちた。 ただただ永倉の言葉に頷くしか出来なかった。 「会津候に…照姫様の為だろう?此処にいるのは。オメーは強くなっている。 それは俺が保証してやっても良い。強くなるのは二の次だ。守るモンがねェ奴は脆い。 幾ら強かろうが、芯がある奴には最後に負けるんだよ」 諭すように、また呟くように語り掛ける。 鈴花は涙が止まらなかった。 「桜庭。人間はな、失敗や負けを知って強くなんだよ。それには個人差もある」 「……はぃ…」 諭すような永倉の言葉が胸に痛かった。 指摘どおり、鈴花は焦って勝ちに拘っていた。 負けでは意味がないと。 「大体なァ、総司に勝とうとするなんざ早いんだよ、お前はよ」 「……痛ッ!」 ペシッと鈴花の額にデコピンをして永倉は笑った。 意外と痛かったのか鈴花は漸く顔を上げる。 「総司に勝つよりも、まずは俺を倒してから劣等感を覚えてみろ」 「……なっ!負けませんよ、私は!」 「“勝つこと”に盲目的になってるオメーなんざ、俺の敵じゃねェな。 それよりも“女”を磨いた方が良いんじゃネェ?」 涙を流しすぎて舌足らずな処もあったが、鈴花はやっと声を発することが出来た。 そんな鈴花の涙を指の腹で拭い、悪い絡みを云う。 「第一、俺だって総司に敵うか判んねぇーモンなのによ」 「……永倉さんが?」 「俺だって昔は焦ったぜ?何せ、年下の餓鬼に敵わねぇんだから」 照れた自分を見せたくないのか、永倉は強引に鈴花を引き寄せ自分の腕の中に抱く。 「悔しかったぜ?神道無念流の本目録が田舎剣法に負けたってなァ」 トクン、トクンと着物越しに聞こえる永倉の心音が静かに耳に響く。 目を閉じ、鈴花は思う。 二番隊隊長で、隊内で一、二位を争う剣客と並び賞される永倉でも 自分と同じ様に焦りや嫉妬を感じていたのかかと。 「一人で溜め込むんじゃねェよ、桜庭」 「ながくらさん……」 オメーは独りじゃネェんだからと付け足された言葉がまた胸に痛くて涙が再び込みあがる。 「焦れば焦るほど道に迷っちまう。総司は総司、桜庭は桜庭だ。力の差なんざァ、いずれ縮まる。 オメーはオメーらしく今出来ることを頑張れば良いんだよ」 稽古で負けることは恥じゃない。 永倉はそう云った。 死合いでの負けは“死”を表しているが、稽古での負けは違うと。 「ちったぁ、気が晴れたか?」 「はい……有り難う御座います、永倉さん」 涙を拭いながら自然と笑みがこぼれる。 それは不自然な笑みではなく穏やかで、何か吹っ切れたようなものだった。 「ところで永倉さんは何の為に新撰組に?」 「ンだぁ、いきなり」 「だって、私は照姫様のいる会津藩の為ですけど…永倉さんの戦う理由を知りませんもん」 鈴花が問うも、永倉はいきなりバツが悪そうな顔をして顔を背ける。 「そりゃあ、オメーには内緒だ」 「あ、ひどいじゃないですか!」 先ほどの涙が嘘のように笑う鈴花。 そんな鈴花を見て永倉も安堵する。 まさか、今剣を振るい戦う理由が“鈴花を護るため”なんて口が裂けても本人に云えなかった。 鈴花に想いを寄せていたからこそ、彼女の豹変に逸早く気が付いたのだ。 そして昔の自分に酷似しているのが見ていられなかった。 自分の腕の中で泣いたり、笑ったり、怒ったりして忙しい彼女が大変愛おしい。 「桜庭が俺に勝ったら教えてやるよ」 その時は自分が鈴花に想いを告げる日だろう。 今は総司に向けられている視線を此方に向けさせたい。 「云いましたね、約束ですよ!!?」 そう、鈴花はこんな風に元気な姿が良い。 だから自分は惹かれたのだ。 真っ直ぐで純情で、ひた向きでころころ変わる愛らしい表情。 今は想いを告げない。 鈴花が勝つ日まで。 永倉との接触によって今までの蟠りを断ち切れた鈴花。 負けても良い、何度でも立ち上がってやる。 私らしく、負けの数だけ強くなってやろうと思った。 永倉のお陰で心の整理がついたような気がする。 目標を見失った自分は弱いと納得した。 だから、今日からは私らしく進んでいこう。 永倉の淡い片想いが効を奏すか否かはそれほど遠くないお話。 PR |