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日々の呟き、妄想などの捌け口。
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続きに【innamorare】番外編⑤:『いつもと違うスパイスをキミに。前』

時系列的には一部終わった直後辺りですかね。
いつでも千鶴は苛め可愛がられる存在であり、いつでも平助に愛を注いでいる曼珠であり、いつでも総司はいじめっ子であって千鶴もしくはその他に何かしているのは標準装備です。笑


いつものように昼時に足を運ぶ。
これはもう習慣のようになりつつあった。
だが、今日は少し違うお話――。

「千鶴ちゃん、見ーつけたっ!」
「きゃっ……!」
「駄ぁ目、一応病院だから大声はご法度」
「んむぅ……んんっ」

不意に後ろから抱き締められ、千鶴は身を震わせ驚いた。
思わず声を出そうとすると口を塞がれて逆に咎められてしまう。
涙目で後ろを振り返ると、そこには見知った顔が笑みを浮かべていた。

「久し振り、千鶴ちゃん」
「……お、……沖田、せんせい」
「うん。会いたかったよ、千鶴ちゃん」

この上なくご機嫌な彼――沖田総司は千鶴を抱きしめたまま離さない。
千鶴としては解放して欲しいし、何よりこの人物には良い印象を抱いていない為警戒してしまう。
しかしながら、先の一件で彼が一筋縄でいくような相手ではないことは重々承知している。
ゆえに知り合いが傍にいないとなると千鶴は成す術を失うとほぼ同義になる。
あたふたとしている内に沖田は千鶴を抱えたまま歩き出す。
「え、ぇえ!?ちょ、沖田先生!?」、などという彼女の声は届かず、鼻歌交じりの自由猫が院内を闊歩する。

「平助、連れて来たよ」

連行されて来たかと思えば、今度はッポイと放り出される。
いつもとは違う場所で千鶴は状況が飲み込めない。
ただ、投げられた自分を上手く支えてくれたのはいつも世話になっている藤堂で、それが唯一安心させた。

「総司!連れて来てくれて助かるけど、千鶴は女の子なんだから大切に扱えよ!」
「大切にしてるよ?僕、千鶴ちゃん大好きだもの」
「ふえ……!?え、と……その」
「嘘つけっ、怯えさせてしかいねーじゃんか。千鶴、大丈夫か!?何もされてないか?」

藤堂の鬼気迫る声に千鶴は圧されて萎縮してしまう。
沖田の言葉もそうだが、藤堂の言葉にも如何答えたら良いのか判らなくて動揺の色が滲む。
すると彼らの傍にいた体躯の良い彼が諌めるように声をかける。

「総司も平助もいい加減にしねぇか。コイツが困ってるだろ」
「左之さん」
「何、今度は左之さんも加わるの?」
「総司、お前は黙ってろ。これ以上掻き回すんじゃねぇよ」

彼に云われると沖田は「ちぇ、詰まらない」と洩らしつつも黙る。
藤堂も頭が冷えたようで千鶴に小さく詫びて来た。

「平助、コイツに会えたんだから早く用件伝えて行って来い」
「あ、そうだ!悪い、左之さん」
「――?どうしたの、平助君」
「ごめん。どうしても昼に外せない用が入ってさ、一緒に飯食えないんだ……!」
「そっか。私なら気にしなくて良いよ、お仕事頑張ってね」
「本当にごめんな!」
「ううん、気にしないで?はい、これ。平助くんのお弁当」
「いつも、サンキュな」
「あ、あと申し訳ないんだけど風間先生に渡して貰えるかな?今朝、持って行くの忘れちゃったみたいで……」
「ん、りょーかい」

二人分の弁当を渡して微笑む千鶴。
本当は所用で抜ける風間の代わりに藤堂と食べることになっていたのだが、仕事ならば仕方ない。
傍から見れば初々しい新婚に映るが、二人はまるで違う関係だから事情を知る者からすれば苦笑いだ。
いわゆる幼馴染の家族ぐるみな付き合いのようなものとも例えられる。

「そんで千鶴を一人にするのは心配だからさ、今日は千鶴さえ良ければオレの同僚(なかま)と食ったらどうかなって思うんだ」
「平助君の、お仕事仲間……?」
「そ、因みについさっきオレらの間に入った――」
「おいおい、平助。自己紹介くらいさせろって。俺は原田左之助だ。宜しくな」
「あ、はいっ。此方こそ……っ」
「左之さんは一番無害だから安心してくれ。そんで、総司も一応オレと一緒の小児科仲間」
「一応って失礼だね。千鶴ちゃん、僕の隣においで」
「えぇえと、その……」
「そいつに構うこたぁ無いぜ!それよりも漢の中の漢、この永倉新八様と一緒に話そうぜ」
「この暑苦しいのが新八っつぁん。あんなんでもリハビリの先生やってるオレのダチ。
 五月蝿いから無視してて良いから」
「え、えーと……」
「本当はもう一人仲間がいるんだけど、今日は出張でいないから今度紹介するな!」
「おい、平助。本当にそろそろ行かないと時間がやべぇんじゃないか?」
「うわっ、本当だ……!土方さんに殺される!!千鶴、悪いっ、また明日な……!」

自分の同僚の紹介もそこそこに、今度こそ藤堂は姿を消した。
残された千鶴は少々竦みながら紹介された医者らを見つめる。
眩しいばかりの笑みを湛えてはいるが、先の一件の手前腹の底が読めない沖田。
体躯が良く見目も麗しいばかりか、優しい兄気分の雰囲気を醸し出す原田。
服の上からでも判る鍛えられた筋肉を持つ大らかな気質の永倉。





さてさて、本日のランチはひと波乱の予感……?











『いつもと違うスパイスをキミに。前』















【後書】
千鶴、ドンマイ(´∀`)
そんな一言に尽きる番外です。
漸く新八やサノも出せたので個人的には満足です。
因みに総司はあくまで嫌がらせであり、愛情表現です。
千鶴を弄り倒したくて仕様のない、悪戯小僧なのでご愛嬌。苦笑
ただでさえ男性に対してビクビクなのに、幾ら平助の仲間でもこんな刺激の強い奴等は心臓に悪いですよね。うん、判ってて一気に集結させた★←
嫌だな、主人公大好きですよ曼珠は( *´艸`)アハハ


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